特別研究グループ
COE特任准教授3名が独立の研究グループを主催し、新たな分野への展開を図ります。
形態統御機構研究グループ
植物体の地上部の成長は、茎の先端部にある分裂組織(茎頂分裂組織)が常に新しい細胞を作り続けることで進んでいきます。
茎頂分裂組織では細胞分裂が盛んに起きており、葉・茎・花器官などのさまざま器官を構成する細胞を周辺部へ生み出していきます。
そこでは、未分化なまま増殖する細胞群(幹細胞)を保持しつつ、様々な性質へと分化する細胞を生み出すための巧妙なしくみが働いています。
私たちは、植物の器官形成の中心である茎頂分裂組織がどのようにして形成されるのか、また茎頂分裂組織からどのようなしくみで器官が形成されるかといった問題を、分子レベルで明らかにすることを目指しています。
形態統御機構研究グループ紹介ページ
図) シロイヌナズナの花序の電子顕微鏡写真。茎頂分裂組織の部分には擬似的に緑色を付けてある。分裂組織の周囲から、花の原基が多数形成されている。
植物生殖遺伝学研究グループ
植物の生殖過程では、次世代に効率良く子孫を残すしくみが備えられています。
種子の中には胚に栄養を与える胚乳組織があり、そこでは母親から遺伝したときのみ発現する遺伝子と、父親から遺伝したときのみ発現する遺伝子が存在しています。
これらはインプリント遺伝子と呼ばれ、両者のバランスが保たれていることが正常な種子形成に重要です。
私たちはシロイヌナズナを用いて、インプリント遺伝子のエピジェネティックな発現制御機構を調べています。
また、イネと野生イネを交配して観察される胚乳の生殖隔離機構をゲノムインプリンティングの観点から調べています。
植物生殖遺伝学研究グループ紹介ページ
図) 胚乳における FWA-GFPのインプリントされた遺伝子発現 FWA-GFP遺伝子が母親側から遺伝したときは緑色の蛍光が観察される(図左)。一方、父親側から遺伝したときはサイレンシングされる(図右)。赤色はクロロフィルの自家蛍光。
発生ゲノミクス研究グループ
近年のゲノムプロジェクトの爆発的な進展は、21世紀の生物学に全く新たな展開をもたらしつつあります
。今やゲノム配列の解読対象はヒトからカエル、ナメクジウオ、ウニなど生物種全般に広がっています。これらゲノム情報にもとづいて、種を通じて保存されている遺伝子調節機構及びそれぞれの種に特異性を与える機構を探る研究が、ポストゲノム時代の中心課題となることに疑いの余地はありません。
私達は動物のゲノム配列を種間比較したときに見出される保存または非保存配列のシス調節配列としての機能を、カエルの高効率トランスジェニック技術を用いて調べ、ゲノムと形態の進化の関係を解明することをめざしています。
発生ゲノミクス研究グループ紹介ページ
図) FoxE3 遺伝子のプロモーターの制御下で発現するGFP遺伝子を導入したカエル胚。予定水晶体領域および予定口腔領域にGFP遺伝子の発現がみられる(紺色)。