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IGDB International Student Workshop 2010 参加報告

平成22年10月6日から11日まで、北京Xiedao Resortで開催された、IGDB International Student Workshop 2010に、本学より学生とポスドク8名が招待されました。これまでグローバルCOEの活動の中で、中国科学院遺伝学発生生物学研究所(IGDB-CAS)との強い国際連携を計ってきたことにより実現したものです。例年NAISTで開催している国際学生ワークショップとほぼ同様に、二日間のワークショップ(学生、ポスドクのみ)と一日の文化研究交流、引き続き日中の第一線の研究者によるワークショップ:China-Japan Joint Workshop on Rice Morphogenesisでのポスター発表という流れで開催されました。密な交流を通じて、参加者は中国科学院のホスピタリティと研究に対する真摯な姿勢に大いに刺激を受けて帰国しました。

IGDB International Student Workshop 2010の様子(写真)

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Dr. Yoshifumi Ikeyama 池山 芳史さん
形質発現植物学講座 COE-PD

私はこの度、平成22年10月6日から11日の日程で、中国科学院IGDB主催の国際学生ワークショップならびにイネ形態形成シンポジウムに参加させていただきました。日程の前半、国際学生ワークショップは北京郊外の蟹島緑色生態度假村にて開催され、英語での口頭発表の機会を頂きました。ワークショップならびにレクリエーションを通じて、IGDBおよびイギリスLeeds大学の学生、ポスドクの方々と学術的のみならず人間的にも交流を深めることができました。交流を通じて、IGDBの学生達が厳しい選抜を経たエリートであり、人間的にも非常に温和な優等生ばかりであること、Leeds大学の学生はコアな研究分野に対して楽しみながら意欲的に取り組んでおり、自らのScienceに自信を持って臨んでいる姿がそれぞれ強く印象に残りました。
全日程を通じて、主催するIGDBによる歓待は素晴らしく、身に余る持て成しに感謝するとともに、中国側の、基礎科学研究における国際協力関係を国家をあげて築こうとする強い意志を感じました。

Dr. Masayoshi Nakamura 中村 匡良さん
植物遺伝子機能学講座 COE-SPD

2010年10月6日から10月11日の期間、中国北京に於いて開かれたInternational Student Workshop 2010とChina-Japan Joint Workshop on Rice Morphogenesisに参加した。私は"Dynamic association of nucleation complexes to cortical microtubules in non-centrosomal microtubule arrays of plant cells"というタイトルで 前半のワークショップでは口頭発表を、後半のシンポジウムではポスター発表を行った。前半のワークショップでは、中国の中国科学院とイギリスのリーズ大学、そして日本の奈良先端科学技術大学院大学の学生とポスドクが主となり、それぞれの研究分野の学術的交流をはかった。扱われる生物は植物に絞られていたが、シロイヌナズナ、アブラナ、イネ、コケとそれぞれ特徴のある発表が聞け、分子レベルの研究から生理学的な研究まで幅広い内容で、始まったばかりのものなどを含め最新の動向がうかがえるものであった。若手研究者のしっかりとした研究と発表は自分の仕事や発表の刺激となり、また、このワークショップは自分の最新の研究内容を報告できるよい機会となった。特に自分の研究に繋がるものとして、リーズ大学のTom Benians氏の綿花植物の細胞壁成分を可視化する研究は興味深いものであった。
後半のシンポジウムはイネの形態形成をテーマとしたもので、研究室を運営している先生方のまとまった仕事で話として刺激的であった。これまでイネの形態形成に特化した学会に参加したことはなかったが、今回の機会を得たことで普段使用しているシロイヌナズナとの違いなどを知り、自分の中での理解を深めることができた。参加された先生方との交流も励みになるものであり、今後の努力の必要性を感じさせていただいた。今回のIGDBワークショップでは、学術的交流の他に文化的交流も目的の一つで、万里の長城に行くなど、様々な中国を感じる経験を積むことができた。この学術的文化的交流は今後の私の研究生活を豊かにするものであると感じ、参加する機会を与えていただいたことに感謝している。
最後に、今回ホストをしていただいたIGDBの学生の方々の尽力や優しさに心より感謝いたします。(前列中央が筆者)

Ms. Xintian Lao Xintian Laoさん
細胞間情報学講座 D2

10月6-11日、IGDB国際学生ワークショップに参加した。初めてのワークショップだったので、とても新鮮な体験であった。
参加した学生はIGDB、NAISTおよびリーズ大学から合計24人。初日のゲームとボート競争でみなが知り合い、仲良くなった。夕食の時間でさらに親睦を深め、翌日の発表を迎えた。発表は一人12+3分だったが、初めて聞く内容がほとんどで、よい刺激となった。個人的に一番印象に残ったのはリーズ大学のTomの発表で、細胞壁を構成する様々な多糖に結合できる蛍光抗体を用いて、綿繊維の細胞壁構造を明らかにするもので、彼のポスターも布に印刷されて、とても暖かく感じた。
自分の発表に関しては、分かりにくいところもあったが、前回淡路島でのより、余裕のある発表ができたと思う。またほかの学生から面白い提案や意見を頂いたので、良かったと思っている。
中国に滞在期間中、IGDBの学生たちは私たちをCAS、故宮、頤和園、万里の長城など案内してくれた。みんなが明るくて親切だったので、天気は良くなかったが、気持ちはとても晴れていた。あと食べ物も本当においしかった。コーヒーブレークの時果物が出てくるのが意外だったが、好評だった。なによりお互い会話を交わし、理解を深めたことが良かった。
一ヶ月後にCASの学生がNAISTにくるが、私たちはそのワークショップに参加しないので、彼らを招待することはできないのが残念であるが、日本での短い間が良い思い出になれるといいなと思う。

Mr. Tadashi Fujiwara 藤原 幹さん
植物分子遺伝学講座 D2

今回、中国、イギリスの大学とのワークショップは非常に有意義なものだったと思う。各大学の同世代の学生たちの動向が見て取れた。それぞれに特徴的な研究を行っており新発見の連続だった。文化や分野の違う研究者と意見を交換でき、交流を深めることができた。また、国際学会で基本となる英語での発表を日本国外で行った経験は今後必ず活かすことのできる機会があるだろう。また、中国の方々は非常に親切であり、何の不安もなく滞在することができたことに対して非常に感謝している。(左から2人目が筆者)

Dr. Kenji Nishimura 西村 健司さん
分化・形態形成学講座 COE-PD

本ワークショップでは中国科学院 (CAS) の遺伝・発育生物学研究所 (IGDB) が中心となって、英国のリード大学や東京大学、本学の学生・ポスドクが中国北京に招かれ、10月6~11日の5日間に渡って集中的に研究発表やシンポジウム、現地視察等を通じて交流を深めた。
10月6~7日は北京郊外のXiedao resortにて参加者の交流会と研究会が開かれた。初日は参加者全員がホテルにて自己紹介やクイズなどのレクレーションで楽しみ、その後敷地内の湖に移動し、参加大学混成チーム対抗のドラゴンボートで汗を流した。ドラゴンボートでは船頭に先導されつつ参加者10人が1チームでボートの左右に分乗し、それぞれが櫂を持って掛け声に合わせてパドリングしてタイムを競い合った。このような機会が無ければなかなか乗ることは無かったと思うと非常に感慨深く、大変貴重な体験をさせて頂いた。このドラゴンボートを通して参加者同士の距離が近くなったように感じた。翌日は早朝から宿泊施設内のセミナー室で研究会が集中的に行われた。参加者の発表トピックスは、イネやシロイヌナズナを用いた形態形成や胚発生、耐病性、細胞周期をはじめ非常に幅広く、また遺伝学的・生化学的解析が精力的になされており、水準の高い研究発表が多く見られた。さらに将来的に興味深い研究に発展すると期待される発表も見られて楽しく勉強させて頂いた。私自身の研究は植物科学分野での隙間産業的な内容であるため参加者には馴染みが薄く発表に興味を持って貰えるか危惧していたが、質疑応答及び発表後に質問して下さる方がいらして大変有難かった。
10月8~10日は北京市街のCASに程近いXijiao hotelに移動して、CASの施設見学や中国-日本合同のイネ形態形成シンポジウムの参加、そして中国の社会的・歴史的・文化的に非常に貴重で世界遺産にも登録されている紫禁城と万里の長城の視察等が行われた。CAS内の植物系研究室を幾つか視察したがいずれも実験装置や器具類が相当充実しており、研究活動を行う上で理想的な環境であると感じられた。シンポジウムではイネの葉や根、花序の形成、胚発生、花成制御、分枝制御等、幅広い現象を主に遺伝学的手法により精力的に解析していた。私自身も扱っているシロイヌナズナに比べてイネの遺伝子単離は困難であるにも拘らず、中国側の発表者の多くがその遺伝子単離に成功していた。また日本側も新規な植物ホルモンシグナリングの形態形成制御メカニズムや花成制御機構に関する最新の知見をはじめ、興味深い話題が多く大変勉強になった。ポスター発表では7日の研究会では話せなかったより深い議論や意見交換ができた。特に私自身が興味を持っているRNAメタボリズムに関する研究をされているCASのXian Deng氏との議論は大変参考になった。彼女の研究はタンパク質修飾を介してRNAスプライシングが花成制御に関わるという内容で最近PNASに掲載された非常に質の高い内容で多くのことを学んだ。またリード大学のNicola Skoulding氏は、アプローチは違うものの偶然にも私が興味を持っているタンパク質ファミリーの解析をおこなっていたため異なる視点からの面白い話が聞けて有意義であった。
優れた研究のみならず、今回非常に印象的であったのがホストである中国側のホスピタリティー精神の高さであった。これは博士課程、修士課程の学生の皆さんまで徹底しており、実験で多忙を極めているにも関わらず、滞在中は空港の送迎から食事や懇親会での非常に細かな気配り、研究所施設案内、世界遺産視察時のガイダンスや中国史の解説、そして宿泊、食事、交通全てにおいてお世話になり、加えて帰国後も撮影してくれた写真を送ってくれたりと、研究・交流全てにおいて最大限に楽しんでもらうという紳士的なスタンスが十二分に伝わり、本当に有難い思いであった。このような中国側の姿勢は自分がもてなす側の立場での振る舞いにも大いに参考になるものであった。(左から2人目が筆者)

Mr. Akira Akamatsu 赤松 明さん
植物分子遺伝学講座 D2

IGDB(中国科学院遺伝学発生生物学研究所)主催の学生ワークショップは今回が初の試みということで、どのような新しい交流が生まれるかを期待しながら、北京に旅立ちました。北京につくなり、北京空港の巨大さとモダンさに圧倒されました。ワークショップの会場は、北京空港からほど近い蟹島(シエタオ)と呼ばれる多くの市民が休日を楽しむレジャー施設の一角にあるホテルでした。
ホテルにつくなり出迎えてくれた中国の学生たちは、非常に友好的で積極的に我々とコミュニケーションを取ってくれました。これは、最初だけではなくむしろ最終日に近づくほどその気遣いや優しさを感じることが出来ました。研究に対する真摯な態度や、客人をもてなそうという気持ちは、我々日本の研究者も見習わなければならないと感じました。
2日目に行われたIGDB学生ワークショップでは、中国科学院、イギリスのリーズ大学、NAISTの学生による研究発表が行われました。午前8時から夕方6時まで約10時間の発表の間、それぞれの学生が自らの研究に自信を持って発表しているのが印象的でした。私自身は、今回が初の海外での口頭発表の機会となり終始緊張しており、話をしていた時のことはあまり覚えていません。しかし、質疑応答に関しては、淡路サマーキャンプでの経験がいきたのか落ち着いて質問に答えることが出来たと感じています。UCDでの英語研修や、淡路サマーキャンプの経験が少しずつ、自身のプレゼン能力や英語能力にいかされてきていることを実感することができました。また、今回のワークショップでも、プレゼンに関するいくつもアイデアや、質疑の応え方、聴衆を惹きつけるためにはどのような工夫をすれば良いのかなど、様々な収穫がありました。これらを今後の課題と考え、活かしていきたいと思っています。
今回の中国でのワークショップ、シンポジムを通して、中国の国としての規模の大きさ、バイオ研究の勢いや、強いホスピタリティを感じました。今回、一緒にワークショップに参加したメンバーが将来、共同研究者や競争相手として再び出会えるようになることを期待しています。(右から4人目が筆者)

天安門広場 濱田 聡さん
植物分子遺伝学講座 D3

10月6日-11日までIGDB-ISWに参加してきました。6日に中国に到着、他大学の学生と交流し、7日に発表、8日はIGDB、北京の観光、9-10日にイネのワークショップとポスター発表、そして万里の長城の観光、11日に中国を出国しました。
今回発表した学生の発表のレベルは非常に高かったように思います。特に、中国の学生はしっかりと発表の準備をしていたように感じました。今回は植物研究の分野の学生だけであったので、私と同じような研究をしている学生がいましたが、彼らとのディスカッションは面白く、今後も交流を持てるように感じました。他の国で研究している学生と交流を持つことで、自分自身が研究者としてまたひとつ成長していくと感じました。
今回のワークショップでは二日間観光の時間が与えられていました。私は中国に行くのが初めてだったので、これは私にとっては非常にいい経験になりました。食事は朝、昼、夜、すべて用意されており、ほとんどが美味しく、品目、量の多さには驚きました。二か所のホテルで宿泊したが、両方とも非常に良いところでした。自由な時間も少しあり、晩御飯後に中国の学生と買い物に出かけた日もありました。
総じて良い印象であり、今後もこの様な交流が続いていけば、学生にとってはいいことだと思います。

Dr. Kaoru Yoshiyama 愿山 郁さん
原核生物分子遺伝学講座 国際リサーチフェロー

今回私は北京で開催されたIGDB International Student Workshop 2010に参加しました。このワークショップでは中国のIGDB、イギリスのLeeds大学、そして本学NAISTから学生とポスドクが集まりました。
初日は参加者間の交流のための簡単な自己紹介の時間があり、その後適当なチームに分かれてDragon boat competitionを行いました。それは竜が先についた中国テイストな船に乗って、自分たちがオールで漕いで池を一周するといったもので、疲れましたが楽しかったです。
二日目は学生とポスドクだけで開催したワークショップがあり、各々口頭発表を行いました。私には発表だけでなく、初めて座長という任務が課されていたため緊張しましたが、自分の専門分野とは違う研究内容に対して英語で質問をする事は大変良い経験になりました。
三日目の午前中はIGDBを訪問し、研究室を見学しながら研究内容の説明を受けました。建物や研究室の設備はとても新しく、各部屋のスペースは日本よりも広かったです。研究室の数も多く、海外でPh.Dを取得した若い人たちが多くPIとして採用されており、IGDBは中国の中でも最先端の研究を行われるためにかなり力が入れられている機関だと感じました。その日の午後は紫禁城か頤和園を各自選択して観光に行きました。中国語が通じないと市内の移動など大変そうでしたが、IGDBの学生がガイドをしてくれましたので、なに不自由なく楽しい時間を過ごす事が出来ました。また毎夕食時には中国式の歓迎方法として、いろいろな人からお酒を勧められ、その人が「乾杯(かんぺい)」と言うとグラスのお酒を飲み干さないといけないのですが、このイベントでどのテーブルもかなり盛り上がり、先生と学生の枠を超え、みんなが親しくなれたと思います。
今回は忙しいにも関わらず、ホストであったIGDBの先生方や学生の人たちには始めから終わりまで私たちのお世話をしていただき、感謝の一言につきます。中国のみなさんが心から私たちを歓迎してくださったことが大変嬉しく心が温まる思いでした。
今回はいろいろな国の人たちとサイエンスを通して親しくなれた事、英語での発表、そして中国の人たちの温かさに触れるといった貴重な経験をさせていただき、本当に有り難うございました。この経験をこれからの研究に是非いかせていきたいと思います。(左端が筆者)