演題 | 感情と意思決定:脳科学、心理学、情報学を通して |
講演者 | 雨森 賢一 博士 マサチューセッツ工科大学マクガヴァン脳研究所 |
日時 | 平成19年11月1日 ( 木 ) 16:30 - 18:00 |
場所 | 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 A205 |
内容 |
近年、うつ病や躁病といった気分障害あるいは強迫性障害に、大脳皮質と大脳基底核のある特定のループが関与していることが示唆されてきている。こういった気分 ( mood ) や感情 ( emotion ) は、本来合理的に働くように見えるヒトやサルの意思決定メカニズムに大きな影響を与える。特に、心理的な葛藤(conflict)のもとでの意思決定は、その影響を受けやすいと考えられている。しかしながら、この問題を脳科学で取り扱うためには、心理的な葛藤を観測できる行動からうまく定義する必要がある。近年の脳科学は、実験で得た結果を情報学的に解釈することで、意思決定をかなり現実的な問題として取り扱うことができるようになってきた。そこで、まず情動と意思決定の結びつけに関与すると考えられる前頭連合野 ( frontal association area )、大脳辺縁系 ( limbic system ) と大脳基底核 ( basal ganglia ) という三つの領野について脳科学的な観点から説明し、次に心理的葛藤の問題を通して、数理科学がどのように心理学と脳科学を結びつけるかを議論する。 |
お問い合わせ先 | 情報科学研究科 論理生命学講座 前田 新一 |